solo

ソロ
ソロ
ソロ
作品の冒頭でソロ
作品の中盤でソロ
作品の最後にソロ
ソロ尽くしだったMassaでの公演


作品は前回に引き続き
"InCanto" 改 "InCanto dall'Orlando Furioso"
正直に言うと 私の好みではない作品
別に私が数十秒のソロしかやらない作品だからとか
そのソロを今だに満足に踊れてない因縁があるからとか
そういう個人的な理由じゃなく
ただ単純に作品自体が私の好みじゃないんだ
作品内の2つのデュエットなど
パートによってはとても好きだったりする
ヘンデルの音楽は美しくて
舞台袖で公演中も歌いまくってるくらいだったり
まぁ・・・
時にはそんな事もある
どんな作品も全部好きってのも変じゃない


今回初めて踊ったブリーナのパート
作品の冒頭と最後にあるソロ
リハを始めた当初は振付に馴染めなかった
ブリーナの個性が濃く反映されていて
私の中でも彼女の踊るイメージが植え付けられていて
それを取り払って自分を出さなければいけない
同時に彼女の個性が使われた振付を引き継がなくちゃいけない
全く別物の様に踊りたい様な
けど彼女がやる様にやってみせたい様な
だけど決して真似はしたくない様な
そんな妙なジレンマを抱えながらのリハが続いた
リハを重ねるごとに少しずつ慣れていった
固執せずに集中してやるべき部分をこなしていけば
パーソナライズ出来る振付だった
3日間踊っていて 次第に好きになっていった


激しく全員で踊った後に一人残って
乱れた呼吸を押さえながら
暗闇と強い照明に振り回されて
傾斜舞台と闘いながら片足で踊るのに比べたら
ブリーナのソロは同じ暗闇でも両足で立っていられる
たとえ片足の瞬間があっても
次の瞬間はもう片方の足を床につけれる
集中できさえすれば・・・
という心構えの違いというのか
ブリーナに対して相当失礼な感想だけれども
明らかに不安要素に負けまくっている自分のソロよりも
制限の中でも自在に踊れるソロで気持ち良かった


初日のカーテンコールでは
観客のブラバーという声がたくさん聞こえた
(イタリアなのでブラボーも女性形)
自分のソロは今までよりも良く出来たけど
納得はいっていなかった
けど ブリーナのソロに対しては満足していた
だから ブラバーはこのソロに対してだと素直に喜んだ
2日目と3日目も私のソロは無難に成功
"InCanto"公演は今回で9回目だったけれど
自分のソロをスタジオでやる時の様には私は出来ない
スタジオではどんなに疲れていても
根が生えた様にブレずに出来るのに・・・
そんな言い訳と共に苛立っていたけれど
それでも今までに比べたら相当良い出来だった
悔しいけれど あれ以上は今は出来ない
照明と傾斜の上で回数を積んでいくしかない
どうやってもスタジオでは
本番同様のコンディションを持ってリハは出来ない


さんざん文句と言い訳を並べているけれど
この私のいやらしいムカつくソロは好きなんだ
激しい群舞パートの後に
ポツンと一人で残って静寂で踊る
ファンファーレの音と共に動き出して
まるで微動だにしないかの様に静かに動く
騒然としていた所からの転換
エスプリがあって好き
好きだからこそ本番で思った様に出来ないのが嫌
自分との闘いという感じだ
でも これで自信喪失しているわけじゃない
ブリーナのソロからもらった自信がある
今回の公演でのディレクション側が評価してくれたこと
観客の反応をこの身で感じたこと
そのエネルギーを使って
少しずつでも良くしていけばいいんだ
苛立ちはしても出来ないことがあってもいいと思える
その分だけ成長していけるから



金曜日は本拠地・Reggio Emiliaにて"InCanto"公演


写真はマッサの劇場 楽屋にて
2人用の個室の中で更に2部屋に別れていて
ひとつは普通に化粧台があって ひとつは何もない空間だった
一枚パシャッと・・・
別に落ち込んでいる姿を写真に収めたワケではない